【其の五】
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蕎麦辞典「屋号」
別項に記した「道光庵」の繁昌にあやかろうと、江戸のそば屋には、「庵」をつけたものが多かったが、それらの中では「萬盛庵」が一番古い屋号だと伝えられる。江戸時代にも、深川あぶみ、坊主そば、らんめん、猖々庵、薪屋、瓢箪屋などという変った屋号があったが、現在でも風変わりな屋号の店がある。式部そば、梓、福屋、…
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蕎麦辞典「萬盛庵」
そば屋の屋号としては、萬盛庵と長寿庵と言う店名が最も古いと言われるくらいで、全国に同名の店がたくさんある。今日「山形そばを食う会」を主催している萬盛庵(山形旅籠町)は、世話人に結城哀草果氏その他知名の士を集めて盛大に続けている。大正末期まで鳴らした浅草奥山(観音堂裏)の萬盛庵は東京名物の一つであった…
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蕎麦辞典「板看板」
旧慣を伝えているそば屋では、店の入口に近い出格子に、榎の一枚板、木彫りの看板をかけている。これにも二た通りあり、一は横長の板にしたもの、他の一つは、榎の大木を胴切りにしたもの。いずれにしても、木目の美しさを見せている。(近ごろでは一般に数すくなくなったが、東京でも浅草、新吉原方面にはまだ残っている。…