鍋焼きうどん

むかし、鍋焼きうどんは屋台で売られていた。薄切りの蒲鉾、油揚、せいぜい気張って浅蜊の天ぷら、などが入っていた。或る時、滅多に店へ寄りつかぬ勝三郎の六番目の倅六郎がふと舞戻り、寄鍋のような、上等な鍋焼うどんをつくったらと発案、中へ入れる種は三橋の蒲鉾屋で別揃えさせた、小ぶりの半ぺん、結び白瀧、椎茸、庄内麩、合鴨、湯葉、筍、卵焼、蒲鉾、三ッ葉、ほうれん草。さてその中に、さいまきか芝海老の天婦羅でも入れたら、と言うと、祖父が〈そんなもの、おめえ品が悪い〉と断固として反対した。六郎は如何しても揚物一品加えたい。とどのつまり、先代の蓮雀町の薮の当主と、跡取りの騰太郎が宥めすかして天婦羅を入れた。この鍋焼きを出したら大当たり、売れに売れた。これを忽ち三越の食堂部が真似をして、それから瞬く間に全国のそばうどん屋に鍋焼うどんが拡がっていった。六代目菊五郎は此の鍋焼が気に入って、楽屋に常時、二、三十組の萬盛庵の印入の土鍋が用意され、ひんぴんと男衆が材料一式を取りに来た。

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